民事訴訟法 口頭弁論及びその準備 その3

民事訴訟法158条~ 口頭弁論

 

・訴状等の陳述の擬制(158条)

原告又は被告が最初の口頭弁論期日に出頭しない場合、又は出頭したが本案の弁論をしない場合、裁判所はその者が提出した訴状又は答弁書その他準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができます。

つまり、最初の口頭弁論期日に原告がいない場合は、訴状を陳述したとみなし、被告がいない場合は、答弁書と陳述したものとみなします。陳述の擬制が成立した場合であっても、必ず相手方に弁論させなければならないわけではありません。あくまで裁判所の裁量によります。まぁ・・・、実際には裁判官の心証は非常に悪いでしょうね。

 

・自白の擬制(159条)

口頭弁論において、当事者が相手方の弁論した事実に対して、争うことを明らかにしない場合は、当事者はその事実を自白したものとみなします。つまり、争う姿勢を示さなければ、相手の弁論した事実を認めたとみなされてしまうということです。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認められる場合は、この限りではありません。

相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした場合は、事実を争ったものと推定されます。

自白の擬制は、口頭弁論期日に出頭しない当事者についても準用されます。ただし、公示送達によって呼び出しを受けた場合は、自白の擬制はされません。

 

・口頭弁論調書(160条)

口頭弁論調書は、裁判所書記官が作成する口頭弁論の経過記録です。証人や鑑定人、当事者等が行った主張や証拠の提出などを記載し、書記官の記名押印の後、裁判官が認印を押します。書記官は、期日ごとに口頭弁論調書を作成しなければなりません。

また、口頭弁論調書の記載内容に対して当事者やその他関係人は異議を述べることができ、異議申述がされた場合は、調書にその旨を記載しなければなりません。

口頭弁論の方式に関する規定の順守は、口頭弁論調書によってのみ証明することができます。口頭弁論調書以外によって、口頭弁論が規定に沿って正しく行われたかどうかを証明する手段はないということです。ただし、口頭弁論調書そのものが滅失した場合は、それ以外の手段によって証明することが可能です。