憲法 国民の権利及び義務 その2

憲法10条~ 国民の権利及び義務

 

・国民の要件(10条)

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

 

判例(10条)

旧国籍法3条1項は、日本国民である父と日本国民ではない母との間に生まれた子は、両親が婚姻している場合に限り、認知により日本国籍を取得すると定められていました。日本国民である父と日本国民でない母との間に生まれた子で、父からの認知を受け嫡出子の身分を取得した場合であったとしても、両親が婚姻していない場合、日本国籍を取得できないとした旧国籍法の規定は、違憲であると判断されました。(最判平成20.6.4)…違憲判決

 

基本的人権の享有(11条)

国民は、すべての基本的人権の享受を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

 

判例(11条)

公務員の政治的中立性を保つことを目的に公務員の政治的行為を禁止することは、それが合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法に違反しません。(最判昭和49.11.6)

不法残留外国人が緊急的に治療が必要な状態になった場合であって、市町村が生活保護法による保護の対象とせず、治療費の支出をしなかったとしても、憲法に違反するものではありません。(最判平成13.9.25)

 

・自由、権利の保持の責任とその濫用の禁止(12条)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

 

・個人の尊重と公共の福祉(13条)

全ての国民は、個人として尊重される。生命事由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

判例(13条)

患者が宗教上の理由で輸血を受ける又は受けないことを選択する権利は、医師が手術に伴い輸血を必要とする判断をした場合であったとしても、患者の宗教上の信念を知ることができた事情の下であっては、その説明を怠ったことで選択権を奪ってしまったときは、患者の人格権を侵害したものとして認められます。(最判平成12.2.29)

何人もみだりに指紋の押捺をされない自由を有するが、外国人登録法で定める在留外国人についての指紋押捺制度は、戸籍制度のない外国人の人物特定に最も確実な制度であるから、一般的に許容される限度を超えない相当のものであり、憲法13条に違反しません。(最判平成7.12.15)

インターネット上のウェブサイト検索サービス提供事業者が、ある者に関するプライバシーに属する事実を含む検索結果を提供する行為について、当該事実が公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、上記の人物は、当該サービス提供事業者に対し、検索結果の削除を求めることができます。(最判平成29.1.31)