民法 無効及び取消し その1

民法119条~ 無効及び取消し

 

・無効な行為の追認(119条)

無効な行為は、追認によっても有効とはなりません。ただし、当事者がその行為が無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなされます。

 

判例(119条)

養子縁組をする目的で他人の子を嫡出子として出生届を届け出た場合であっても、それによって養子縁組とみなされることはなく、養子縁組の効力は生じません。(最判昭和49.12.23)

→無効な行為であることを知って出生届を提出し、それを追認(=養子縁組)の意思表示したとしても、効力を生じることはありません。

 

・取消権者(120条)

行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人又はその代理人、承継人若しくは同意権者に限り、取り消すことができます。制限行為能力者が他の制限行為能力者代理人として行った場合、当該他の制限行為能力者(この場合は、本人)を含みます。(同意権者=保佐人、補助人であって、同意権を付与されている者。)

錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした本人又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができます。

保証人は、取消権者に含まれません。

 

判例(120条)

表意者の重大な過失によって意思表示に錯誤があった場合、表意者は意思表示の無効を主張することができません。この場合、相手方や第三者もその無効を主張することはできません。(最判昭和40.6.4)

瑕疵ある意思表示をした当事者が錯誤を認めず、意思表示の無効を主張しない場合、第三者がその無効を主張することはできません。(最判昭和40.9.10)

三者は、表意者の錯誤を理由に無効を主張することはできませんが、当該第三者において表意者に対する債権を保全する必要があり、表意者が意思表示の瑕疵を認めているときは、表意者自ら意思表示の無効を主張する意思がなくても、第三者である債権者は、表意者の意思表示の錯誤による無効を主張することが許されます。(最判昭和45.3.26)