地役権の登記の登記事項等 その1

不動産登記法80条 地役権の登記の登記事項等

 

承役地についてする地役権の登記の登記事項

・登記の目的

基本的には「登記の目的 地役権設定」となりますが、地上権がある場合には「登記の目的 〇番地上権地役権設定」となります。地役権は主登記で登記されますが、地上権に地役権を設定する場合に限り、付記登記となります。(所有権以外の権利を目的とする登記は付記登記。)

 

・申請の受付年月日及び受付番号

・登記原因及びその日付

・登記に係る権利の権利者氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分(地役権の登記では登記できません。)

・登記の目的である権利の消滅の定めがあるときは、その定め

権利の消滅の定めは登記できますが、存続期間の定めは登記できません

 

・共有物分割禁止の定めがあるときは、その定め

地役権は分割できないような気がするんですが、どうなんでしょうか・・・。一応登記事項になるようです。共有となっている要役地を分割する場合でしょうか。具体的な状況が想像できません。

 

・代位者がいるときは代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因

代位者がいる場合には、代位者の氏名や名称が登記事項となります。

 

・権利の順位

 

要役地(絶対的登記事項)

要役地が他の登記所の管轄になっていた場合でも、登記官が職権で要役地について地役権が登記された旨が登記されるため、他の登記所へ申請をする必要はありません。

要役地の所在、地番、地積、地目は申請情報となります。

 

地役権設定の目的及び範囲(絶対的登記事項)

「目的 通行」や「目的 水道管の埋設」、「目的 電線路の障害となる工作物を設置しない」等と定めた上で、「範囲 全部」「範囲 東側〇平方メートル」等と範囲を明確にします。なお、範囲を承役地の一部とした場合は申請時に地役権の範囲を示す図面が必要ですが、範囲を承役地の全部とした場合には、図面は必要ありません。

 

民法281条1項ただし書若しくは285条1項ただし書の別段の定め又は同法286条の定めがあるときは、その定め

281条…地役権には付従性がありますが、要役地の所有権とともに移転しない、もしくは要役地の他の権利の目的とならないと特約にて定めることができます。

285条…用水地役権で用水の量が需要に対して不足する場合、まずは承役地、要役地の生活用に充て、残りを他の用途に充てるとされていますが、生活以外の用途に優先的に充てることを特約とすることができます。

286条…承役地の所有者が地役権行使のための工作物の設置及び修繕の義務を負うとした場合、その旨を特約とすることができます。

 

・地役権の設定範囲が承役地の一部であるときは、地役権図面の番号

 

※上記の登記について、不動産登記法59条4項の規定にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しないとされています。