会社法 募集に係る責任等 その2

会社法212条~ 募集に係る責任等

 

・取締役等と通じ、不公平な払込金額で株主となった者等の責任

取締役や執行役と通じて著しく不公平な価額で募集株式を引き受けた場合、その株主は適正な価額との差額を会社に対して支払う義務を負います。

 

・現物出資した財産の価額が不足する場合

現物出資した財産の価額が募集事項が定める価額より著しく低い場合、その株主は募集事項に定められた価額との差額を会社に対して支払う義務を負います。ただし、当該株主が善意でかつ無過失である場合は、募集株式の引き受け(総引受契約を含む)、申し込みの意思表示を取り消すことができます。

 

・現物出資した財産の価額が不足する場合の取締役等の責任

現物出資された財産の価額が著しく不足する場合において、以下の者はその差額を会社に対し支払う義務を負います。

①(価額が不足する現物出資を行った)募集株式の引受人に関する業務を行った業務執行取締役、その他業務に関与した役員

②現物出資財産の価額の決定に関わる株主総会の決議があったときは、議案を提出した取締役又は執行役

③現物出資財産の価額の決定に関わる取締役会の決議があったときは、決議に賛成した取締役

上記①の場合の関与とは、「価額の決定に関する職務を実行」「株主総会で説明を行う」「取締役会で当該価額に賛成する」という形でかかわった場合です。

 

なお、検査役の調査を経ていた場合と業務を行うにあたり注意を怠らなかったことを証明した場合は、差額を会社に支払う義務は免除されます。

検査役の調査を経ていた場合、調査を行った弁護士等に差額の支払い義務が発生します。こちらも注意を怠っていなければ免責となります。

引受人が不足額の支払い義務を負う場合、取締役や証明者(弁護士等)にも支払い義務が発生している場合には、これらの者は連帯債務者となります。

概ね株式会社の設立時に発生する義務と同様ですね。