会社法 取締役 その3

会社法352条~ 株式会社の代表者

 

・取締役の職務代行者(352条)

民事保全法56条により、法人代表者の職務停止の仮処分命令による登記が嘱託された場合、代表取締役又は取締役の職務は停止されます。このような場合、裁判所が代表者の職務を代行するものを選任します。裁判所より選任された職務代行者は、会社の常務に属しない行為を執り行う場合には、裁判所の許可が必要となります。許可なく行った場合は無効ですが、善意の第三者には対抗できません。

臨時株主総会の招集などがこれにあたります。会社の不動産を売却することはできるようです。

 

・会社と取締役との間の訴えにおける代表者(353条)

監査役が設置されている場合を除き、会社と取締役が裁判で争う(一方がもう一方に対し訴えを提起する)場合には、代表取締役が会社の代表を務めます。もしくは、株主総会で会社の代表者となる者を選任することができます。会社と取締役の訴えは身内同士となってしまうため、株主総会で会社の別の代表者を決めることができるということになります。

 

・表見代表取締役(354条)

会社が代表取締役以外に会社の代表者であると誤解を招くような名称を付した場合、表見代表者が行った行為について、善意の第三者に対して会社がその責任を負わなければなりません。「社長」「副社長」といったポストがこれにあたります。また、ただの平社員(使用人)に「代表取締役」という役職を付けた場合も表見代表取締役にあたります。