会社法 資本金の額等 その2

会社法447条~ 資本金額の減少等

 

・資本金の額の減少(447条)

資本金の額の減少を行う場合、株主総会の特別決議が必要です。資本金をゼロとすることはできますが、マイナスとすることはできません。資本金は会社の財産であるため、自由に減少させることはできず、一定の手続きを取る必要があります。

以下の場合に限り、株主総会の特別決議によらずに資本金を減少させることができます。

①定時株主総会において、定時株主総会の日時点の欠損金(※後述)の額を超えない範囲の資本金の減少は、普通決議で足ります。

②株式の発行と同時に資本金を減少させる場合、資本金の減少の効力発生日「後」の資本金の額が効力発生日「前」の額を下回らないときは取締役会の決議で足ります。もしくは、取締役(複数名)の多数決、取締役(1人)の決定です。

資本金の額の減少の効力発生日は、株主総会で決めた日(決議を行った日ではありません。)となります。ただし、効力発生日前までに債権者保護をする必要があります。

※欠損金…経営不振等で資本金の額に満たなくなってしまった場合の差額。各事業年度において、法人税の計算に入れる利益額より損失額が大きくなった場合、その差が欠損金となります。

 

・準備金の額の減少(448条)

準備金の額の減少を行う場合、株主総会の普通決議が必要です。準備金をゼロとすることはできますが、マイナスにすることはできません。

通常、株主総会の普通決議が必要ですが、株式の発行と同時に準備金を減少させる場合、準備金の減少の効力発生日後の準備金の額が効力発生日前の額を下回らないときは、取締役会の決議で足ります。もしくは、取締役(複数名)の多数決、取締役(1人)の決定です。

準備金の額の減少は、資本金の額の減少と同じく、株主総会で決めた日(決議を行った日ではありません。)に効力が発生します。ただし、効力発生日前に債権者保護をする必要があります。なお、減少する準備金の額をそのまま資本金へ組み込む場合、債権者に不利益を与えないため、債権者保護の手続きを取る必要はありません。債権者保護の具体的手続きは次条となります。