憲法 国民の権利及び義務 その11

憲法29条~ 国民の権利及び義務

 

・財産権(29条)

財産権は、これを侵してはならない。

②財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

私有財産は、正当な補償の下に、これを公共の為に用いることができる。

 

判例(29条)

憲法29条3項が定める「正当な補償」は、その当時の経済状態において成立することが考えられる価格に基づき、合理的に算出されるものであって、必ずしも市場価格と完全に一致する必要はありません。(最判昭和28.12.23)

法令が定める制限によって、相当の資本を投入して営んできた事業が営めなくなることは、憲法が認める「正当な補償」を要するといえます。しかし、当該法令に損失補償の規定がなくても、憲法29条を根拠に補償の請求ができることから、財産権の補償規定を欠いた法令を直ちに違憲と断ずることはできません。(最判昭和43.11.27)

 

・法定の手続きの保障(31条)

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

判例(31条)

起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されません。しかし、単に被告人の性格、経歴及び犯罪の動機、方法等の情状を推知するための資料としてこれを考慮することは、憲法31条に違反しません。(最判昭和41.7.13)