特例有限会社 その2

特例有限会社会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

 

・株式会社への移行

特例有限会社は、株主総会の決議によって株式会社へ商号を変更をすることができます。その場合は、特例有限会社は解散の登記を、株式会社は設立の登記を行います。特例有限会社の定款をそのまま使うことはできないため、新たに株式会社としての定款を添付して登記申請をしなければなりません。

 

持分会社への移行

特例有限会社持分会社とする組織変更はできません。そのため、一度株式会社へ商号変更を行った上で、株式会社から持分会社へ組織変更を行う必要があります。株式会社から持分会社へ組織変更を行う場合、通常の組織変更であるため、総株主の同意及び債権者保護手続きが必要となります。

 

・吸収合併、吸収分割の禁止

特例有限会社を存続会社、承継会社とする吸収合併、吸収分割を行うことはできません。また、特例有限会社は株式を発行していますが、株式交換や株式移転を行うことはできません。

特例有限会社 その1

特例有限会社会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

 

特例有限会社とは

有限会社法は、会社法(2006年)の施行によって、廃止されました。しかし、特例法によって、以前の有限会社の性質を引き継いだまま、株式会社として存続できることとなりました。現在は、新たに有限会社及び特例有限会社を設立することはできません。

 

特例有限会社の株式

特例有限会社は株式会社です。ただし、商号には「有限会社」という文字を用いなければなりません。

特例有限会社の株式は、有限会社の出資1口あたり1株です。発行可能株式及び発行済株式の総数は、資本の総額÷1口あたりの出資金となります。

ex)資本総額1000万円であり、1万円が出資1口である特例有限会社の発行可能株式及び発行済株式の総数は、1000株です。

特例有限会社の株式は、譲渡に際して必ず株主総会の承認が必要です。つまり、特例有限会社は100%非公開会社です。ただし、株主間の譲渡は自由となっており、制限することはできません。

特例有限会社は、新株予約権社債の発行ができます。

 

株主総会の特則

特例有限会社における株主総会の特別決議は「総株主の半数以上」の出席、かつ、「議決権の4分の3以上の賛成」によって決議されます。

 

・役員

全取締役、監査役の氏名及び住所が登記事項です。清算人においても、氏名及び住所が登記事項です。(株式会社では、代表取締役、代表清算人以外は氏名のみが登記事項。)

監査役の監査は会計に係る権限のみ認められています。監査役会の設置はできません。監査役が誰であるかの登記はできますが、監査役設置会社である旨の登記はできません。

特例有限会社には、役員の任期の制限がありません。極端な話をすると一度役員の立場に就けば、死ぬまで役員でいられます。

会社法終了

とりあえず、会社法はここで終了となりました。非常に長かった。ほぼ5か月近くを会社法に費やしたような気がします。時々過去のページを眺めると、記憶がよみがえります。以後、商法と商業登記法に取り掛かることになります。

条文と問題文を見比べてみると、会社法はほぼ条文を頭に入れておけばいけそうな内容でしたが、商法や商業登記法はどうでしょうか…。

正直、独学なので頭に叩き込む内容に優劣を付けづらいのが難しいところです。

半年限定とかで答練にチャレンジしてみようかしら…。

 

久しぶりに令和3年度の試験問題を引っ張り出しました。

試験を受けた当時は、商業登記の筆記試験が完全に理解不能だったのですが、今見返してみると理解できます。商業登記法を学ぶことでより理解できそうです。

 

今日、少しだけ達成感があったので、記録に残しておきました。

まだまだ勉強していこうと思います。

会社法 その他規定

会社法 その他規定

 

一部を適当にまとめておきます。

 

・外国会社の登記(933条)

外国会社に関する登記の基準は「3週間」です。

そのため、外国会社が初めて日本における代表者を定めたときから3週間以内に「日本における代表者」「日本における営業所の所在地」を登記しなければなりません。

外国会社の登記は、日本の会社の種類で最も近い種類として登記されます。(株式会社、合同会社…等々)

外国会社に変更が生じた場合の変更の登記の申請は、その変更の通達が海外から日本の代表者の元に到達したときから起算して3週間以内に行います。

 

・裁判による登記の嘱託(937条)

株主総会の決議無効又は取消し、株式又は新株予約権の不存在若しくは無効、会社の設立無効又は取り消しなど、裁判による強制力が生じるような判決が確定した場合、それらの登記は裁判官の嘱託によって行われます。

一時役員等(取締役や監査役、執行役など)を選任又は解任する裁判が確定した場合は、一時役員等の登記は裁判官の嘱託によって行われます。ただし、一時会計監査人は、監査役監査役会、監査等委員会、監査委員会含む)が選任するため、嘱託登記が行われることはありません清算人や代表清算人の選任も同様です。

裁判により、組織変更等が無効となった場合は、裁判官の嘱託によって登記が行われます。

 

・取締役等の特別背任罪(960条)

特別背任罪が成立するのは株式会社に関する発起人、役員等、使用人、検査役のみです。

持分会社の社員は該当しません。持分会社には背任罪が適用されます。

会社法 支店の所在地における登記

会社法930条~ 支店の所在地における登記

 

・支店の所在地における登記(930条)

本店所在地の登記所の管轄外に支店を設けた場合、当該支店の所在地において、支店の登記を行わなければなりません。本店と同じ登記所の管轄内に支店を設けた場合は、そのまま同じ登記所で支店を設けたことのみを登記すれば足ります。

本店の設立と同時に支店を設けた場合、2週間以内に登記申請をする必要があります。

「新設合併」「新設分割」「株式移転」を行うと同時に支店を設けた場合、本店登記義務発生日(色んな条件が出てめんどくさいアレ)から3週間以内に登記申請をする必要があります。

支店の所在地における登記事項は「商号」「本店所在地」「支店所在地」の3点です。ただし、同じ登記所に他の支店が存在している場合は、「支店所在地」のみ登記すれば足ります。支店の登記事項に変更が生じた際の変更登記は変更の効力発生日から3週間以内です。

 

・他の登記所の管轄区域内への支店の移転の登記(931条)

支店を他の登記所の管轄区域へ移転した場合は、移転に伴う旧支店の移転の登記は3週間以内に、新支店には4週間以内に登記する必要があります。なお、同一の管轄区域内での移転の場合は「支店所在地」の変更登記を行うのみで足ります。

 

・支店における変更の登記(932条)

本店において「持分会社の種類の変更」「組織変更」「吸収合併」「新設合併」「吸収分割」「新設分割」「株式移転」「解散」「継続」「清算」「清算結了」があった場合は、支店を管轄する登記所においても、同じ登記を申請しなければなりません。ただし、「吸収合併」「吸収分割」「新設分割」に関しては「商号」「本店所在地」「支店所在地」に変更が生じた場合のみ、登記の申請を行えば足ります。

 

・法改正(930~932条)

途中まで書いてから気づいたのですが、これらの規定は、令和元年12月11日から3年6か月以内に廃止されるみたいです。なので、令和5年7月には消滅していることになりますね。

会社法 解散、継続、清算の登記

会社法926条~ 解散、継続、清算の登記

 

・解散の登記(926条)

株式会社においては「定款で定めた存続期間の満了」「定款で定めた解散事由の発生」「株主総会の決議」のいずれか、持分会社においては「定款で定めた存続期間の満了」「定款で定めた解散事由の発生」「総社員の同意」「社員が1名もいなくなった」のいずれがの事由が発生した場合、その事由発生から2週間以内に解散の登記を行う必要があります。

 

・継続の登記(927条)

解散事由が発生した場合であっても、会社が継続したとき又は持分会社清算に入った場合(継続事由になりうる)は、継続の登記を行う必要があります。

ちなみにみなし解散となってから3年以内に継続の登記を行わなければ、会社を継続することはできなくなります。

 

清算人の登記(928条)

1,清算株式会社において、取締役がそのまま清算人となった場合は、解散の日から2週間以内に以下の登記をする必要があります。

清算人の氏名

②代表清算人の氏名及び住所

清算人会設置会社である場合は、その旨

2,清算持分会社において、業務執行社員がそのまま清算人となった場合は、解散の日から2週間以内に以下の登記をする必要があります。

清算人の氏名又は名称及び住所

清算持分会社を代表する清算人の氏名又は名称及び住所(清算持分会社を代表しない清算人がいる場合に限る)

清算持分会社を代表する清算人が法人である場合は、清算人の職務を行うべき者の氏名及び住所

取締役又は社員がそのまま清算人とならず、株主総会や社員同士の互選等により清算人が選出された場合は、選出された日から2週間以内にその旨を登記する必要があります。

 

清算結了の登記(929条)

清算が結了した場合は、結了した日から2週間以内に清算結了の登記を行う必要があります。

会社法 組織変更の登記等 その3

会社法923条~ 組織変更の登記等

 

・吸収分割の登記(923条)

吸収分割をする場合は、吸収分割会社及び吸収分割承継会社は、効力発行日の2週間以内にそれぞれ変更の登記を行う必要があります。

 

・新設分割の登記(924条)

長いので割愛しますが、新設分割をする場合は、新設分割会社は規定日から2週間以内に変更の登記を、新設分割設立会社は設立の登記を行う必要があります。規定する日は、前ページの新設合併とあまり変わらないので、そちらを参照のほど。

ちなみに新設分割ができる持分会社合同会社のみです。

 

・株式移転の登記(925条)

1又は2以上の会社が株式移転をする場合は、下記に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内に、株式移転設立会社の設立の登記を行う必要があります。

①株式移転契約を承認する株主総会の決議の日

②株式移転に種類株主総会の決議が必要な場合は、当該決議の日

③株主へ株式移転をする旨の通知又は公告を行った日から20日を経過した日

④株式移転完全子会社が新株予約権を発行している場合は、新株予約権者へ株主移転をする旨の通知又は公告を行った日から20日を経過した日

⑤債権者保護手続きが終了した日

⑥株式移転完全子会社が定めた日