会社法 株式の質入れ

会社法146条~ 株式の質入れ

 

・株式の質入れ

株式には、質権を設定することができます。

株券発行会社の株式を質入れするためには、株券を交付しなければ、質権設定の効力が発生しません。

株式の質入れは自由に行うことができます。会社が自己株式に質権を設定する場合も、株主総会の決議を経る必要はありません。(自己株式への質権設定=自己株式の質受け)

 

・登録株式質、略式株式質

登録株式質とは、株式名簿に質権設定を登録し、質権者(債権者=登録質権者)が株式の質権者であることを明らかにする方式です。登録株式質では、質権者へ配当が支払われます。

それに対し略式株式質は、質権設定者が質権者へ株券を交付することで質権設定を行う方式です。略式株式質の場合、配当は株主(債務者=質権設定者)へ支払われることになりますが、質権は配当にも及びます(物上代位)。差し押さえをする必要はなく、直接質権設定者へ取り立てることができます。

株券を発行していない会社の場合は、登録株式質でなければ会社、第三者に対して質権を対抗できません。株券発行会社の場合の会社、第三者に対する質権の対抗要件は株券の占有です。

 

平成21年1月5日にすべての上場企業は株券不発行制度によって、株券の発行を廃止したため、現在株券を発行しているのは非上場企業のみです。非上場企業の株式では、その価値を担保できないため、株券を使用した質権設定は極めて稀なのではないでしょうか。(こんな内容、試験に出るのかな・・・。)

 

略式株式質を設定している株券について、株券発行会社が株券の発行を廃止した場合でも、質権は引き続き有効です。ただし、会社、第三者に対抗することができなくなります。