会社法 株式の譲渡等 その4

会社法140条~ 株式会社又は指定買取人による買取り

 

・株式会社又は指定買取人による買取り

株主は会社に対する譲渡制限株式の譲渡の承認を請求することができますが、同時に会社が譲渡を承認しない決定をした場合には、当該譲渡制限株式の会社又は指定買取人による買取りを請求することができます。簡単に言うと「譲渡を承認しないなら、この株式持ってても仕方ないから買い取ってくださいよ。」ということです。

この場合、会社又は指定買取人が株式の買取をする旨と買取株式数を決定した上で、株主に対して通知しなければなりません。会社が買い取る場合は会社が、指定買取人が買い取る場合は指定買取人が株主へ通知します。

買取の決定は、会社が買い取る場合でも、指定買取人が買い取る場合でも、株主総会の特別決議での決定を経る必要があります。買取の決定はたとえ譲渡等の承認機関を株主総会以外とする定款がある場合でも、株主総会特別決議が必要です。なお、譲渡の承認の決定は、通常の決議になります。

買取の決定にかかわる株主総会の特別決議には、譲渡等承認請求者は議決権を持ちません。請求者以外の株主がいない場合や、請求者が100%株式を保有している場合は議決権を行使することができます。

 

・買取りの通知と供託

買取りの決定をした後、会社は本店所在地の供託所へ買取金を供託し、供託した旨の証明書を譲渡等承認請求者へ交付します。この証明書の交付を受けた請求者は、供託所から供託金の払渡し請求手続きを行うこととなりますが、供託を行った会社が株券発行会社であった場合は、証明書の交付を受けてから1週間以内に請求者が自ら株券を供託所へ供託しなければ、払渡し請求ができません。なお、指定買取人がいる場合は、指定買取人と請求者が上記のやり取りを行います。