会社法 監査役 その2

会社法384条~ 監査役

 

監査役の報告義務(384条)

取締役が株主総会に提出しようとしている議案を調査しなければなりません。調査を行った結果、議案に不正行為、定款違反、法令違反と認められる内容が含まれていた場合、監査役はその内容を株主総会で報告しなければなりません。

 

監査役による取締役の行為の差し止め(385条)

取締役が会社の目的外行為、法令・定款違反行為を行おうとしている場合、その行為の結果によって、会社に著しい損害を与える恐れがあるときは、監査役は当該行為の差し止めを請求できます。ただし、監査の範囲が会計のみである監査役は差し止め請求を行うことはできません。

裁判所が仮処分をもって、当該行為の差し止めを命じるときには、担保は不要です。

ex)取締役が行おうとしている売買を裁判所が仮処分にて差し止めを行った場合、売買不成立よる損害賠償が発生する可能性があったとしても損害賠償のための担保を用意する必要はありません。

 

監査役設置会社と取締役との間の訴え(386条)

監査役設置会社と会社に属する取締役の間で訴えが提起された場合、監査役が会社の代表者となります。完全親会社である監査役設置会社が完全子会社の取締役・執行役等に対して責任追及の訴えを提起した場合も、完全親会社である監査役設置会社の代表は監査役です。

あくまで会社と取締役の間で裁判をする場合に限って会社代表が監査役となります。そのため、会社と会計監査人の間で裁判をするときは、会社代表は取締役です。

なお、会社と過去に取締役であった者との間の裁判では、会社代表は監査役です。

 

・監査範囲の限定(389条)

非公開会社であり、かつ監査役会設置会社、監査等委員会設置会社以外の会社は、監査役の監査範囲を会計に関するものに限定する旨を定款によって定めることができます。

監査範囲を会計に関するものに限定された監査役は、監査役の行為差止請求や取締役会の招集請求ができません。また、取締役会への出席義務や取締役による不法行為等を発見した場合の報告義務を逃れます。(道義的に不正行為は報告すべきと思いますが・・・。)