商法 商法総則 その1

商法1条~ 商法総則

 

・商行為(1~3条)

商行為は、商法の定めに従って決められています。

商法に定めのない商行為は商習慣に従い、それ以外は民法の適用を受けます。

当事者の一方のために商行為を行った場合、双方に商法が適用されます。また、2人以上の当事者の1人が商行為を行った場合、全員に商法が適用されます。

誰かの商行為はみんなの商行為になります。

 

・商業登記(8~10条)

商法の規定によって登記すべき事項は、登記後でなければ第三者に対抗できません。ただし、登記の後であったとしても第三者が正当な事由によって登記があることを知らなかった場合は、対抗することはできません。

故意又は過失によって不実の登記を行った者は、不実の登記であることを善意の第三者に対抗することができません。

 

・商号(11~18の2条)

商人はその商号を登記することができますが、登記をするかどうかは任意であり、必ずしも商号を登記しなければならないわけではありません。

不正の目的をもって他人の商号を使用する者に対し、商号の使用差し止めをする場合は、当該他人が登記を行っているか否かに関わらず行うことができます。

 

商号は、その営業とともに譲渡する場合又は廃業する場合に限り、譲渡することができます。

ex)商号「ラーメン太郎」というラーメン屋は、商号のみを譲渡することはできませんが、営業権と一緒であれば、他人へ譲渡し、他人が「ラーメン太郎」を名乗ることができます。

 

営業を譲渡した場合は、譲渡人は同一及び隣接市町村では、20年間同一の営業を行ってはなりません。同一の営業を行わない旨の特約を交わした場合は、30年間となります。

 

営業の譲受人が、商号を引き続き使用する場合、譲渡人の債権者は譲受人に対して、債務の履行を請求することができます。

債務履行の請求を受けなくするためには、「譲受人は譲渡人の債務を弁済する責任を負わない」旨の登記を行う必要があります。または、譲渡人と譲受人が2人一緒に第三者へ通知することで、譲受人は譲渡人の債務を履行する義務を負いません。

譲受人が譲渡人の債務を負う場合であって、営業の譲渡から2年以内に、譲渡人に対して債務の履行を請求又はその予告をしないときは、譲渡人に対する債務は時効によって消滅します。また、譲渡人の営業によって生じた債権について、譲受人に対して弁済した弁済者は、善意でかつ重過失がなければ、弁済の効力が生じます。

 

判例(14条)

14条 自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任(最判昭和52.12.23)

商人が自己の商号を他人に使用させた場合、商人は当該他人が取引によって生じた債務を負います。

「取引によって生じた債務」とは、自己の商号を使用して営業することを他人に許諾した商人が、当該他人を商人であると誤認した第三者と取引をしたことによって負担することになった債務を指します。(この場合は、他人が負担すべき債務は商人の責任となります。)

ただし、他人が営業活動中の交通事故等の事実行為によって負うべき損害賠償責任は、商人が引き受ける義務を負いません。(この場合は、他人の責任です。)