民事訴訟法 証拠 その7

民事訴訟法223条~ 書証

 

・文書提出命令等(223条)

文書提出命令の申立てがされた場合、文書を提出するに足りる理由があると判断されれば、裁判所は、決定で文書の所持者に対して、文書の提出を命令します。

ただし、文書の中で証拠調べを要しない部分又は提出義務がないと判断される部分がある場合は、それらを除いた部分を提出させることができます。

訴訟に関係ない第三者に対して文書提出命令を出す場合は、裁判所は当該第三者を審尋しなければなりません。

公務員が所持する文書であって、公務上の秘密に関わる内容が含まれる場合、裁判所は、その提出義務の有無に関し、監督官庁の意見を聴かなければなりません。また、監督官庁は、提出義務がない旨の意見を述べる場合は、その理由を示さなければなりません。

上記理由としては「国の安全が害される」「他国との信頼関係を著しく損なう」「犯罪の予防ができなくなる」等の結構深刻な理由が必要です。ただし、裁判所がその理由に足りないと判断すれば、提出命令を出すことができます。

 

・文書の提示(223条)

文書提出命令の申立てがされた文書に提出義務がないかどうか確かめるために、裁判所は文書所持者に文書の提示を命じることができます。(民訴法220条4号イ~ニに該当するか否か。)ただし、刑事事件や少年保護事件に関わる文書に対しては、いかなる場合であっても提示させることはできません。(民訴法220条4号ホに該当するため。)

文書提出が可能かどうかを判断するにあたって、裁判所のみがその閲覧をすることができます。(=イン・カメラ審理。非公開。)

 

・即時抗告(223条)

文書提出命令の決定については、それが当事者や第三者など、誰が所持しているかに関わらず即時抗告が可能です。

 

判例(223条)

証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令を却下する決定に対しては、必要性があることを理由にして即時抗告をすることはできません。(最決平成12.3.10)

情報公開法に基づく行政文書の不開示決定に対する取消訴訟において、一度不開示決定がされた文書を行政側に提示させた上での検証を強制することはできないため、そのような文書を提示することも許されないと解するのが相当です。(最判平成21.1.15)

これは、原告(開示請求する側)の立ち会いのもとで文書を確認しなければなりませんが、確認をした時点で原告の目的は達成してしまうためです。だからと言って、原告が確認立ち会わない(立会権を放棄する)場合、原告は不開示文書に基づいた弁論を行うことができず、根拠を欠くまま口頭弁論をしなければならなくなってしまいます。

裁判官の補足意見もある判例なので、試験には出ないかな・・・?