民事訴訟法 証拠 その6

民事訴訟法219条~ 書証

 

・書証の申出(219条)

証拠方法のひとつとして、書証(文書による物証)があります。

これらを証拠として取り扱ってもらうためには、書証の申出を行わなければなりません。自らが所有する文書を提出するか、文書の所有者に対して提出命令の申立を行う必要があります。

 

・文書提出義務(220条)

以下の①~③の場合、文書の所持者は、文書の提出を拒むことができません。

①当事者が訴訟において引用した文書を自ら所有するとき

②挙証者(書証の申出を行った当事者又は補助参加人を指す)が文書の所持者に対し、自ら引き渡し又は閲覧を求めることができるとき(挙証者に閲覧請求権のある文書。)

③文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書所持者との間の法律関係について作成されたとき(典型例として契約書。その他タイムカードや就業規則なども含まれます。)

ただし、次の場合は、文書提出義務を逃れます。

1,文書を提出することで親族等が刑事罰を受ける可能性があるとき

2,公務員に関する職務上の秘密に関わる文書で開示することで公共の利益を損ね、職務の遂行に著しい支障が発生するとき

3,医師や士業関係者が黙秘すべき内容が含まれるとき

4,文書所持者が自分のために利用するための文書(=専ら文書の所持者の利用に供するための文書。ただし、公務員が組織的に利用するものを除く。)

5,刑事事件や少年保護事件に関する記録又はそのために押収されている文書

 

・文書提出命令の申立て(221条)

文書提出命令の申立てをする場合、以下の5点を明らかにして行う必要があります。

①文書の表示

②文書の趣旨

③文書の所持者

④証明すべき事実

⑤文書の提出義務の原因(「本件文書は、被告Aの利益のために作成された文書であるから、民訴法220条に基づき、Bには提出義務があります。」などと書きます。)