民事訴訟法 証拠 その8

民事訴訟法224条~ 書証

 

・当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果(224条)

当事者が文書提出命令に従わない場合、裁判所は、その文書の記載内容に関する相手方が主張を事実と認めることができます。あくまで認めることができるのであって、認めなければならない訳ではありません。

当事者が文書を故意に破棄したり、滅失させたりした場合も、同様に相手方の主張を事実であると認めることができます。

 

・第三者が文書提出命令に従わない場合の過料(225条)

三者が文書提出命令に従わない場合は、裁判所は、当該第三者に対して20万円以下の過料を科します。当事者と違い、相手方の主張を事実と認めることはできません

過料の決定に対しては、即時抗告ができます。

 

・文書送付の嘱託(226条)

書証の申出に際し、文書の所持者に対して文書送付の嘱託を申し立てることができます。文書提出命令と文書送付嘱託の申出の違いは、文書提出命令は強制力が生じるのに対し、文書送付嘱託では提出はあくまで嘱託先の任意である点です(つまり、提出しなかったとしても、過料等はありません)。そのため、文書送付嘱託は、文書所持者の文書提出義務の有無に関わらず、申し立てることができます。

文書送付嘱託の申立てを行った場合、当事者と相手方の双方に文書が渡されます。

なお、当事者が自ら嘱託先より文書の交付を受けることができる場合は、文書送付嘱託の申立てを行うことはできません。

 

・文書の成立(228条)

文書は、本人がその成立が真正であると証明しなければなりません。文書が本人の意思に基づいて作成された場合、文書が真正に成立した、つまり偽造されていないと言えます。ただし、その内容が真実かどうかは別問題となります。

文書がその方式、趣旨に基づいて公務員が職務上作成した場合は、真正な公文書であると言えます。

私文書の場合は、本人又は代理人の署名又は押印(どちらか1つでも良い)があるときに、真正に成立したものと推定します。文書の真正が推定される場合、相手方は反証することが可能です。つまり、反証が認められれば、真正に成立したものとは推定されないこととなります。

真正の推定がされた時点で形式的証拠力は認められますが、実質的証拠力の有無は、裁判官の心証にかかっています。すなわち、文書の真正が証明されたとしても、文書の中身が事実であるかどうかは、判明していない(=実質的証拠力はない)ということになります。

 

判例(228条)

文書の真正について、当事者双方に争いがない場合であったとしても、文書の成立はあくまで補助事実であるため、その自白は裁判所を拘束しません。(最判昭和52.4.5)

 

・文書に準ずる物件への準用(231条)

文書だけでなく、録音テープや写真、映像等の文書に準ずるものは、文書と同様に扱われます。