・事務所(20条)
司法書士は、法令に定める基準に従い、事務所を設けなければなりません。
・依頼に応ずる義務(21条)
司法書士は、正当な事由がない限り、依頼を拒むことはできません。(簡易訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)
簡易訴訟代理等業務以外の依頼であれば、誰からの業務も拒んではいけませんし、特定の人からの業務のみを行うことも許されません。
なお、正当な事由があって依頼を拒んだ場合であって、依頼者から請求があったときは、書面でその事由を通知しなければなりません。
簡易訴訟代理等関係業務は、正当な事由がなくても依頼を拒むことができます。ただし、依頼を承諾しない場合には、速やかにその旨を依頼者へ通知しなければなりません。
・業務を行い得ない事件(22条)
司法書士は、公務員として取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件は、全面的にその業務を行うことが禁じられています。これは登記手続きに関する業務も含まれます。(なお、仲裁手続は非公開です。)
・業務を行い得ない事件…裁判書類作成業務(22条2項)
司法書士は、以下に該当する場合は、裁判書類作成関係業務を行うことはできません。
①依頼者の相手方の依頼を受けて裁判書類作成業務を行った事件。
②司法書士法人の社員又は使用人として従事していた期間内に、依頼者の相手方の依頼を受けて裁判書類作成業務を行った事件であって、自らこれに関与したもの。
③司法書士法人の使用人である場合に、当該司法書士法人が依頼人の相手方から簡易訴訟代理等関係業務に関する受任をしている事件。
・業務を行い得ない事件…簡易訴訟代理等関係業務(22条3項)
認定司法書士は、以下に該当する場合は、裁判書類作成関係業務を行うことはできません。
①簡易訴訟代理等関係業務に関するものとして、相手方の依頼を受けているもの。
②簡易訴訟代理等関係業務に関するものであって相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの。
③簡易訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件。(ただし、受任している事件の依頼者が同意した場合は受任可能。)
④司法書士法人の社員又は使用人として従事した期間内に当該司法書士法人が①の内容を受任しているものであって、自ら関与したもの。
⑤司法書士法人の社員又は使用人として従事した期間内に当該司法書士法人が②の内容を受けたものであって、自ら関与したもの。
⑥司法書士法人の使用人である場合に、当該司法書士法人が簡易訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件(当該司法書士が自ら関与したもの)の相手方から依頼を受けた他の事件。(ただし、受任している事件の依頼者が同意した場合は受任可能。)
なお、22条2項3項に該当し、簡易訴訟代理等関係業務及び裁判書類作成業務の受任ができない場合であったとしても、登記関係や供託関係の依頼を受けることは可能です。制限を受けるのは、あくまで裁判関係の業務と公務員として行った業務のみです。
・秘密保持の義務(24条)
司法書士は、正当な事由がなければ、その職務上知り得た秘密を他に漏らしてはいけません。これは、司法書士でなくなったときも同じです。(=「司法書士であった者」という表現になります。)