民事訴訟法 訴え その4

民事訴訟法142条~

 

・重複する訴えの提起の禁止(142条)

裁判所に係属する事件については、当事者はさらに訴えを提起することができません。

ex)AがBに対して有する債権1000万円の一部である200万円と明示した上で係属中である場合、残りの800万円は係属中ではないため、Aは残りの800万円を自働債権としてBがAに対して有する債権の相殺にあてることが可能です。明示がない場合は、自働債権とすることはできません。

 

判例(142条)

AがBに対して所有権に基づく所有権移転登記を求める訴えの係争中に、BがAに対して自己に所有権があることを確認する訴えを提訴することは重複起訴には当たりません。ただし、BがAに対して所有権移転登記請求権がないことの確認を求める訴えの提起は重複起訴に当たります。(最判昭和49.2.8)

 

・訴えの変更(143条)

原告は、請求物の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結時までに請求又は請求の原因を変更することができます。この変更ができるのは、訴訟手続きが著しく遅滞することがない場合に限ります。なお、請求物の基礎に変更がある場合であったとしても、相手方の承諾があれば、変更を行うことができます。

請求の変更は、書面にて行わなければならず、この書面は相手方に送達されます。なお、簡易裁判所では書面で行うことを要しません。また、書面を要するのは、請求の変更に限られ、請求の原因の変更の場合は、書面によることを要しません。

裁判所は、変更が不当であると認められる場合には、職権で又は申し立てにて変更を許さない旨の決定をしなければなりません。