民事訴訟法 督促手続

民事訴訟法382条~ 督促手続

 

・支払督促とは

裁判上の請求ではなく、債権者が簡易裁判所書記官を通して債務者に対して一方的に督促状を送りつける制度です(すっごい口の悪い言い方ですが)。支払督促は、債権者側の主張の真偽を確認せずに、送ることができるためです。架空請求詐欺に利用されることがあるらしいですが、そんなことをしたら恐らく罪に問われると思います。

債務者が2週間以内に異議を申し立てない場合、債権者の申立てにより強制力(仮執行宣言付与)が発生します。

 

・支払督促の要件、申立て(382条・383条)

金銭等(金銭の代替物、有価証券含む)の請求について、債権者の申立てに基づき、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所書記官は、債務者に宛てて支払督促を送達します。ただし、公示送達によらないで送達できる場合に限られます。

支払督促の発行に際し、特に債務者を審尋する必要はありません。(386条)

 

・申立ての却下(385条)

上記(382条・383条)に違反する場合や申立ての理由がないことが明らかな場合は却下されます。却下は、相当と認める方法によって告知することができます。つまり、口頭での却下も可能です。

この却下に対しては、1週間以内であれば、異議申立てができます。異議申立ての裁判に対しては、即時抗告を行うことはできません。

 

・支払督促の記載事項(387条)

支払督促には、債務者が2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければなりません。2週間以内に督促異議の申立てがあった場合は、仮執行の宣言を付することはできません。(390条)

なお、支払督促には「金銭等を支払う命令」「請求の趣旨、原因」「当事者及び法定代理人」が記載されます。

 

・仮執行の宣言(391条)

最初の支払督促から2週間以内に債務者から督促異議がない場合、次に債権者は簡易裁判所書記官に申し立てることで、仮執行の宣言が付与された支払督促を債務者に送ることができます。この仮執行の宣言が付与された支払督促に対し、債務者が2週間以内に督促異議をしない場合は、仮執行の宣言が確定します。(393条)

ちなみに最初の支払督促に督促異議がないのに、そのまま1か月間ほったらかしておくと、支払督促は失効します。(392条)

 

・督促異議の申立てによる訴訟への移行(394条)

適法な督促異議があった場合、その請求の価額(140万円以上か未満か)に従い、支払督促の申立てがあった日に遡って簡易裁判所又は地方裁判所に訴えが提起されたものとみなされます。

 

・支払督促の効力(395条)

仮執行の宣言が付与された支払督促に対して督促異議がない場合、又は督促異議が却下された場合、支払督促は確定判決と同一の効力を有します。