民事訴訟法 少額訴訟に関する特則

民事訴訟法368条~ 少額訴訟に関する特則

 

少額訴訟の要件等(368条)

簡易裁判所では、60万円以下の金銭の支払請求訴訟において、少額訴訟を利用することができます。なお、少額訴訟では、反訴はできません(369条)。控訴もできません(377条)。異議を申し出ることは可能です(378条)。

同一の簡易裁判所に対し、1年間に10回までしか利用できません。そのため、少額訴訟を利用する場合、提起の際に「今何回目です。」と申告が必要です。これは、債権回収等に利用されることを防ぐためです。少額訴訟は、あくまで個人の利用を想定しています。

 

・一期日審理の原則(370条)

少額訴訟では、特別の事情がある場合を除き、初回の口頭弁論で審理を完了させます。そのため、当事者は初回の口頭弁論で、すべての攻撃防御の方法を提出しなければなりません。(続行する場合を除く。)

1回の口頭弁論で審理を完了させないといけないため、証拠調べは、即時に取り調べられるものに限られます。(371条)例えば、証人尋問は、在廷している証人でなければ証拠調べができません。

 

・証人等の尋問(372条)

少額訴訟では、証人尋問を宣誓させないですることができます。

証人又は当事者の尋問は、裁判所が相当と認める順序ですることができます。オンライン等でもOKです。

 

・通常の手続きへの移行(373条)

被告は、少額訴訟を通常の訴訟へ移行するよう申し出ることができます(相手方の同意は不要)。ただし、被告が口頭弁論で弁論した場合又は口頭弁論が終結した場合はできません。

 

・判決の言渡し(374条)

少額訴訟では、原則口頭弁論の終結後直ちに判決が言い渡されます。この場合、判決書を用意するヒマなんてないので、判決書に基づかないで言い渡すことが可能です。

 

・判決による支払の猶予(375条)

裁判所は、請求を容認する判決をする場合、被告の資力その他の事情を考慮して、3年間以内の支払い猶予期限の設定又は分割による支払いを認めることができます。

 

・仮執行の宣言(376条)

少額訴訟において、原告の請求を容認する判決を決定する場合、裁判所は、仮執行の宣言を付さなければなりません。