会社法メモ 株主提案権・株主請求権

会社法 株主提案権・株主請求権

 

株主総会における株主提案権

①議題提出権、②議案提出権、③議案通知請求権の3つに分けられます。

ここでいう議題は「取締役選任の件」という株主総会の目的事項です。それに対して議案は「取締役に〇〇氏を選任して欲しい」という株主総会の目的事項中の個別案件です。そして、議案通知請求権とは、株主が株主総会へ提出しようとしている議案を予め議決権を行使できる総株主へ通知することを請求できる権利です。提出しようとする議案を事前に他の株主に知ってもらうことで、可決しやすくなるというメリットがあります。

①議題提出権

総株主の議決権の100分の1以上又は議決権を300以上を6か月以上前から保有する株主

(非公開会社は保有期間要件なし。取締役会を設置していない場合、株主であれば誰でも請求可能)

 

②議案提出権

単独株主権保有議決権要件、保有期間要件なし)

 

③議案通知請求権(通知を請求できる議案は10個まで)

総株主の議決権の100分の1以上又は議決権を300以上を6か月以上前から保有する株主

(非公開会社は保有期間要件なし。取締役会を設置していない場合、株主であれば誰でも請求可能。)

 

株主総会招集請求権

総株主の議決権の100分の3以上を6か月前から保有する株主

(非公開会社は保有期間要件なし)

 

・会計帳簿等の閲覧、謄写請求権

総株主の議決権の100分の3以上又は発行済株式総数の100分の3以上を保有する株主

(公開会社においても保有期間要件なし)

 

・取締役の責任追及の訴えの提訴請求権

6か月以上前から株式を保有する株主

(非公開会社は保有期間要件なし=無条件)

 

・役員解任請求権

役員において、法令又は定款違反といった重大な事実があったにも関わらず、株主総会において当該役員の解任する議案が否決された場合に当該株主総会の開催日から30日以内に請求しなければなりません。

総株主の議決権の100分の3以上又は発行済株式総数の100分の3以上を6か月前から保有する株主

(非公開会社は保有期間要件なし)

 

・会社解散請求権

やむを得ない事情があるときに限り請求できます。(会社が立ち行かなくなったり、回復できないほどの損害が生じた場合など)

総株主の議決権の10分の1以上又は発行済株式総数の10分の1以上を保有する株主

(公開会社においても保有期間要件なし)

会社法メモ 発起人の同意・決議

会社法 発起人の権限

 

・発起人全員の同意が必要な行為

発行可能株式総数に関する定めとその変更(※1)

設立時発行株式に関する事項(※2)

設立時募集株式に関する事項(※3)

資本金及び資本準備金の額

 

・発起人が有する議決権の過半数の決議が必要な事項

発起設立における設立時取締役(定款に設立時取締役の定めがある場合を除く ※4)

本店所在地に関する事項

支店所在地に関する事項

支配人に関する事項

株主名簿管理人に関する事項

 

(※1募集設立の場合、定款によって発行可能株式総数を定めていないときは創立総会の決議によって定めることも可能。発起設立において、定款の定めがない場合は、発起人全員の同意によって定める必要がある。)

(※2発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、発起人が設立時発行株式と引換えに払い込む金額。)

(※3設立時募集株式の数、1株あたりの払込金額、払込期日。)

(※4募集設立の場合、設立時取締役は創立総会の決議によって決定する。)

試験終了

生きてますよ。

本日試験受験しました。

 

午前24/35、午後20/35という結果でした。

ここ最近はほぼ過去問をメインで回していました。昨年度に比べると成績はかなり向上しました。

 

今回、憲法刑法供託法(ついでに司法書士法)が満点。不動産登記法12/16という成績でした。つまり、商業登記法はボロボロです。

 

このブログはほぼインプットのためだけに使っていましたが、試験直前に少し民訴法をチェックしたら、ちょうどその部分が出題されたので1問拾いました。ラッキー。

 

引き続き勉強は頑張っていくので、このブログも活用していこうかな。

 

いっそのこと、苦手な科目のみに特化してみようかと思います。

代理行為、質権、契約法、養子あたりが苦手なので、そのあたりを充実させようかな。

来年はまた登記六法も買わないといけませんね。

完全独学なので、コツコツ頑張りたいと思います。

 

民法 時効 その2

民法145条~ 時効

 

・時効の援用(145条)

時効は、当事者が援用しなければ効力を持ちません。ここでいう当事者とは、消滅時効については、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を指します。

条文に「当事者が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判をすることができない」とありますが、これは当事者からの援用がない限り、実際の権利関係と裁判結果が不一致となってしまうから裁判所は何も言えませんよ、ということになります。無関係な第三者は、時効の援用をすることはできません。

 

判例(145条)

時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的、自動的に生じるものではなく、時効が援用されて初めて確定的に生じます。(最判昭和61.3.17)

当事者とは、時効により直接利益を受ける者を指します。取得時効により権利を取得し、消滅時効により権利を制限又は義務を免れる者です。これらの利益を間接的に受ける者は、当事者ではありません。(大判明治43.1.25)

他人のために自己の所有不動産を譲渡担保に供した者は、被担保債権の消滅により利益を受ける点で、物上保証人と異ならないため、当事者として被担保債権の消滅時効を援用することができます。(最判昭和42.10.27)

仮登記担保権(借金の担保として債務者の不動産に「売買予約」や「代物弁済予約」を原因とする所有権移転請求権仮登記)の設定された不動産を取得した第三者は、実質的に担保権の登記と変わらないため、その被担保債権の消滅時効を援用することができます。(最判昭和60.11.26)

後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権が消滅したことにより、自らの順位が上がって配当額が増加することが期待できますが、この配当額の増加は、順位の上昇によってもたらされる反射的利益にすぎないため、後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することはできません。(最判平成11.10.21)

被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人のひとりは、全部を自己が取得する旨の遺産分割協議が成立した等の事情がない限り、自己の相続分を限度超えて取得時効を援用することはできません。(最判平成13.7.10)

 

 

民法 時効 その1

民法138条~ 時効

 

・期間の計算の通則(138条)

期間の計算方法は、法令・裁判上の命令・法律行為に別段の定めがある場合を除いて、この章(138~143条)の規定に従います。

 

判例(138条)

消滅時効の起算点は、初日を算入しません。(大判昭和6.6.9)

 

・期間の計算(140条)

日、週、年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しません。ただし、午前0時から始まるときは、初日を算入します。

 

判例(140条)

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)所定の3年の時効期間についても、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時が午前0時でない限り、初日は算入しません。(最判昭和57.10.19)

 

・時効の効力(144条)

時効の効力は、その起算日にさかのぼります。

ここでいう起算日は、時効を数え始める日です。消滅時効であれば、起算日までさかのぼるとそれまでの債務が利息や遅延損害金も含めてなかったことになりますし、取得時効であれば、起算日以降の目的物の果実も時効取得者に帰属します。

 

判例(144条)

取得時効を援用する者が任意にその起算日を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることは許されません。(最判昭和35.7.27)

=取得時効に必要な期間継続して占有があった場合でも、取得時効成立日以降に登記を経由した第三者には対抗できないのに対し、第三者が登記をした後に取得時効が成立すれば、登記なくして当該第三者に対抗できます。しかし、取得時効を援用する者が取得時効の起算日を自由に動かすことができてしまうと、第三者の権利関係が不安定になってしまうため、取得時効の基礎となる事実が発生した時を起算点として時効完成の時期を確定させなければなりません。

民法 条件及び期限 その2

民法131条~ 条件及び期限

 

・既成条件(131条)

条件が法律行為のときにすでに成就していた場合、その法律行為は、停止条件の場合は無条件、解除条件の場合は無効です。

条件が法律行為のときに成就しないことが確定していた場合、その法律行為は、停止条件の場合は無効、解除条件の場合は無条件です。

 

・不法条件(132条)

不法な条件を付した法律行為は無効です。不法行為をしないことを条件とする法律行為も無効です。

ex)「Aさんを殺したら、100万円をあげる。」=無効。

 

不能条件(133条)

達成不可能な条件を付した法律行為は、停止条件であれば無効、解除条件であれば無条件です。

ex)「富士山を素手沖縄県に持っていったら、100万円をあげる。」=無効。

 

・随意条件(134条)

停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効です。

ex)「気が向いたら100万円をあげる。」=無効。

 

判例(134条)

解除条件付法律行為は、条件が単に債務者の意思のみに係るものであっても、無効とはなりません。(最判昭和35.5.19)

 

・期限の到来の効果(135条)

法律行為に始期を付したときは、期限の到来までその履行を請求できません。

法律行為に終期を付したときは、期限の到来によって、効力は消滅します。

 

・期限の利益及びその放棄(136条)

期限は、債務者の利益のために定めたものと推定されます。期限の利益を放棄することはできますが、それによって相手方の利益を害することはできません。

つまり、貸金の債務者は、期限満了までの利息と元本を債権者に支払うことで、期限前に弁済することができます。これが弁済時までの利息のみだと、債権者が本来受け取れるはずだった期限満了までの利息分の利益を害してしまいます(その他、債権者が金銭を準備するために要した費用等も損害賠償額に含まれることも)。ただし、当事者同士の特約がある場合は、この限りではありません。

 

・期限の利益の喪失(137条)

以下の場合は、債務者は期限の利益を主張することができません。

①債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

②債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。

③債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

判例(137条)

未登記の抵当権又は質権の目的となっている不動産を債務者が他者に移転して登記した場合、抵当権者又は質権者は譲受人に対抗することができなくなります。この行為は「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。」に該当し、債務者は、期限の利益を喪失します。(東京地裁昭和11.10.21)

民法 条件及び期限 その1

民法127条~ 条件

 

・条件が成就した場合の効果(127条)

条件付法律行為の条件には、停止条件解除条件があります。

停止条件は、停止条件が成就した時からその効力を生じます。

解除条件は、解除条件が成就した時からその効力を失います。

停止と聞くと、条件が成就すると効力を失うと勘違いしそうですが、条件によって成就が停止されているという意味になります。

原則、条件成就の時から法律行為は効力を生じますが、当事者が条件が成就した場合の効果を成就した時以前にさかのぼらせる意思表示をした場合は、成就前から効力を生じさせることもできます。

 

判例(127条)

いわゆる出世払いは、不確定期限付金銭消費貸借契約です。「出世しなかったら返さなくてよい」ではなく「出世するか、出世する見込みがなくなったときまで、弁済を猶予する」ということです。(大判明治43.10.31、大判大正4.3.2)

 

・条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止(128条)

条件の成否が未定の間に、相手方の利益を害してはいけません。成就までの間は、大人しく見守らなければなりません。

逆に言えば、互いに利益があるのであれば、条件を早めるような行為をしても良いということになりますね。

 

・条件の成否未定の間における権利の処分等(129条)

条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分、相続、保存することができます。担保をつけることも可能です。

ex)条件の成否未定の債権を質権の目的にする。条件の成否未定の債権に保証人をつける。

 

・条件の成就の妨害等(130条)

条件の成就によって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げた場合、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができます。

反対に、条件の成就によって利益を受ける当事者が故意にその条件を成就させた場合、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができます。