会社法102条 設立手続きの特則
・払い込みの仮装を行った引受人
払い込みを行った設立時発行株式の引受人は会社が成立したときに株主となります。
ただし、引受人が払い込みを仮装した場合は仮装した全額を払い込まなければ、株主としての権利を行使することができません。なお、払い込みの仮装に関与した発起人も引受人と連帯して払い込みの義務を負うことになりますが、当該発起人は仮装した価額の全額を払い込んだとしても、株主としての権利を行使することはできません。
・仮装払い込みを行った引受人の設立時発行株式の譲受人
引受人が払い込みを仮装して得た設立時発行株式を第三者に譲渡した場合は、その譲受人は会社設立時にはその権利を行使することができます。ただし、払い込みの仮装について悪意又は重過失であった場合は、権利を行使することはできません。
・心裡留保、虚偽表示
設立時発行株式の引受人はその引き受けに際し、心裡留保又は虚偽表示があった場合でも、無効の規定は適用されません。
・錯誤の無効規定、脅迫又は詐欺による意思表示の取消規定
設立時発行株式の引受人はその引き受けについて、①株式会社が成立した後、②創立総会又は種類創立総会で議決権を行使した後は錯誤による無効の主張、脅迫又は詐欺による意思表示による取り消しを主張することができません。
会社法103条 発起人の責任等
・現物出資した財産の価額が不足する場合
募集設立においては、発起人が現物出資した財産の価額が定款に記載された価額より著しく不足する場合、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しても不足額を払い込む義務は免除されません。(発起設立であれば、免除されます。)ただし、募集設立においても、裁判所が選任する検査役が調査を行った場合には免除されます。
・発起人とみなされる場合
設立時発行株式を引き受ける者を募集する広告に会社設立に対する賛同する旨の記載又は自らの氏名もしくは名称を使用することを承諾した者は発起人とみなし、その設立に関して発起人が負うべき責任と同様の責任を負います。