会社法 計算等 その2

会社法435条~ 計算書類

 

・計算書類等の作成、保存(435条)

はじめに株式会社成立時に貸借対照表を作成します。

貸借対照表…企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表すもの。

事業年度ごとに計算書類、事業報告、これらの付属明細書を作成します。

これら計算書類は、作成時から10年間保管義務があります。(会計帳簿は閉鎖時から10年間です。)

 

・計算書類等の監査等(436条)

計算書類、事業報告、それらの付属明細書は会計監査人設置の有無を問わず、すべて監査役、監査等委員、監査委員による監査が必要です。

会計監査人設置会社の場合は、計算書類と計算書類に係る付属明細書について、会計監査人による監査が必要です。(監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社)

取締役会設置会社の場合、計算書類、事業報告、これらの付属明細書は監査が終わった後、取締役会の承認を得る必要があります。取締役会の承認を受けることで、定時株主総会へ提出ができるようになります。(監査役がいない場合は、そのまま承認を受けます。)

 

・計算書類等の株主への提供(437条)

取締役会設置会社は定時株主総会の招集に際し、取締役会で承認を受けた計算書類を提供しなければなりません。監査を受けていた場合、監査報告又は会計監査報告も提供する必要があります。

 

・計算書類等の定時株主総会への提出(438条)

監査役、会計監査人が設置されている会社(取締役会設置会社を除く)は、それぞれの監査を受けた計算書類、事業報告を定時株主総会へ提出します。上記(437条)の通り、取締役会設置会社であれば、取締役会の承認を受けてから提出します。いずれの機関もない会社であれば、取締役が作成した計算書類、事業報告を定時株主総会へ提出します。

定時株主総会では、取締役は計算書類と事業報告の報告義務があり、定時株主総会で承認を受けて、公告等を行うことができるようになります。(定時株主総会では、附属明細書までは提供義務はありません。)

 

・会計監査人設置会社の特則(439条)

会計監査人設置会社である場合、一定の要件を満たせば、計算書類を定時株主総会へ提出し、承認を受けることを要しません。その場合、取締役は定時株主総会で報告する必要があります。

①会計監査人が計算書類に対し、無限定適正意見(すべての重要な点において適正に表示されている、という意見)を示していること

監査役、監査等委員会、監査委員会から提出された監査報告、又はそれぞれ個別の監査役、委員からの付記事項に会計監査報告への異議がないこと

③監査報告の通知期限切れによるみなし監査となっていないこと

取締役会設置会社であること

 

・計算書類の公告(440条)

定時株主総会終結後、遅滞なく貸借対照表を公告しなければなりません。

大会社は損益計算書も公告します。