会社法 持分会社の管理 その2

会社法596条~ 業務を執行する社員

 

業務執行社員持分会社に対する責任(596条)

業務執行社員に懈怠があったときは、持分会社に対し連帯して損害賠償を負います。

 

・業務執行を行う有限責任社員の第三者に対する責任(597条)

業務執行を行う有限責任社員がその職務を行うにあたり、悪意又は重過失があった場合には、当該社員は連帯して第三者に対する損害賠償責任を負います。つまり、善意無過失であれば、責任は負わないということになりますね・・・。あと、無限責任社員は善意無過失であった場合でも責任を負わなければならないという意味になるのでしょうか。

 

・法人が業務を執行する社員である場合の特則(598条)

法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は業務を執行する者を選任しなければなりません。このような法的位置づけがある以上は当然ですが、法人が社員になれないという規定はなく、法人の代表者(代表取締役、代表執行役等)がそのまま業務執行社員になるという規定もありません。あくまで、法人が業務執行社員となった場合には法人内部から業務執行者を選任するということになります。

 

持分会社の代表者(599条)

持分会社の代表者は業務を執行する社員です。複数の業務執行社員がいる場合は、それぞれが代表者となります。もしくは、定款によって代表者を定めることもできます。

定款の定めによる互選によって業務執行社員の中から代表者を選出することも可能です。

いかなる選出方法によってしても、有限責任社員を代表者としてはならないという規定はありません。つまり、社員の責任の範囲は関係なく、代表社員となることができます。

 

持分会社を代表する社員等の行為についての損害賠償責任(600条)

代表社員又は代表となる者が第三者に損害を加えた場合、持分会社がその損害賠償の責任を負います。代表社員は故意や過失がない限り責任を負う必要はないということになります。

 

持分会社と社員との間の訴えにおける会社の代表(601条)

通常、会社と社員との訴えにおける会社の代表は代表社員が担うことになります。しかし、会社を代表すべき者がいない場合には、訴訟を行っている社員以外の過半数にて会社を代表する者を決めることができます。例えば、代表社員と会社との訴えが提起され、代表者となる社員がいなくなってしまった場合に、代表社員以外の社員で代表者を選出することになります。

 

・社員が会社へ訴えの提起を請求する場合(602条)

社員は持分会社に対して、他の社員の責任を追及するために訴えの提起を請求することができます。当該社員が訴えの提起を請求を行ったにもかかわらず、会社が60日間を超えて訴えを提起しない場合は、当該請求をした社員は、対象の訴えに関して会社の代表者を務めることができます。