商業登記法 登記の更正及び抹消 その1

商業登記法132条~ 登記の更生

 

・更正(132条)

登記に錯誤又は遺漏があるときは、当事者はその更生を申請することができます。

更生の申請書には、錯誤又は遺漏があることを証明する書面の添付を要します。ただし、氏名、住所の更生の場合は不要です。

更生の登記の申請は、登記を行った時点の登記事項に錯誤又は遺漏がある場合に限り受理されます。そのため、錯誤により登記された場合であって、その時点で登記されている事項が存在しなかった場合、登記の抹消を行わなければなりません。

 

・更生(133条)

登記官が登記の錯誤又は遺漏を発見した場合は、当事者へ通知しなければなりません。ただし、その登記の錯誤又は遺漏が登記官によるものであった場合は、通知は不要です。登記官による登記の錯誤又は遺漏の更生は、法務局の長の許可を得て行います。

 

・更生の申請書の添付書類(商業登記規則96条)

登記を行った際の申請書又は添付書類から、登記に錯誤又は遺漏があることが明らかに認められる場合は、更生の登記の申請書には、錯誤又は遺漏があることを証する書面の添付は不要です。ただし、その旨を申請書に記載しなければなりません。

 

・先例(132条)

剰余金の資本組み入れによる変更の登記を行った後、組み入れるべき剰余金が存在しなかった場合、存在しない剰余金の資本組み入れを決議した株主総会は無効であるため、株主総会の決議無効の訴えを提起し、それを容認する判決に基づき、嘱託により抹消するべきであり、登記の更生によって誤った登記を是正すべきではないとされています。

錯誤により登記すべき資本金の額を多く登記してしまった場合における資本金の更生の申請は、実際に資本金の減少を伴うものではないため、債権者保護手続きを行うことなく、更生することができます。ただし、錯誤があったことを証する会社代表者の上申書と錯誤により作成された添付書類に替えて新たに作成された正しい添付書類を添付する必要があります。