民事訴訟法 管轄 その2

民事訴訟法10条~ 管轄

 

・管轄裁判所の指定(10条)

管轄する裁判所が裁判権を行うことができない場合、申し立てにより、その上級の裁判所がどこの裁判所で裁判を行うかを決定します。

この決定には、不服申立を行うことができません。

 

・管轄の合意(11条)

裁判の当事者は、契約によって第一審に限り、管轄裁判所を合意によって定めることができます。この合意は一定の法律関係に基づく訴えにのみ効力が生じ、かつ、書面(電磁的、紙)で行わなければ効力を持ちません。

具体的には、取引先等との間で金銭トラブルが生じた場合に、あらかじめどこの裁判所で争うかを書面契約にて取り決めをしておく、ということがあります。例えば、東京都の会社と大阪府の会社が売買契約を結んだところ、紛争時の裁判所の管轄の取り決めがなかった場合、大阪の会社はわざわざ東京まで出向いて裁判をしなければなりません。また、「何の法律行為の訴えは、この裁判所で行う」という契約をしなければ効力を持ちません。つまり、「本契約に係る売買行為によって生じる紛争」や「本契約に係る一切の紛争」というように、具体的に定める必要があります。

140万円を超える訴額に関する管轄を簡易裁判所と合意することもできます。

 

・応訴管轄(12条)

本来は、管轄違いの裁判所で裁判が開始された場合であって、被告が管轄違いの抗弁を提出せず、弁論を行う又は弁論準備手続きにおいて申述したときは、管轄違いの裁判所であったとしても、管轄権を有することになります。応訴管轄は、一審に限ります。

本案(訴えの本旨である請求)に対して弁論又は弁論準備手続きにおいて申述をした場合に限ります。被告がそれ以外の行為を行ったとしても、管轄権が生じることはありません。

また、原告が管轄違いの抗弁を提出したとしても、被告が異議を唱えず原告に対して応じれば、その裁判所に管轄権が生じます。

 

・専属管轄の場合の適応除外等(13条)

裁判所の管轄が訴えの内容により、法律で決まっている場合は、専属管轄となります。

特許権意匠権に関する訴えは、それぞれ管轄の裁判所が決まっています。

ex)会社法856(訴えの管轄)株式会社の役員の解任の訴えは当該株式会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。