民事訴訟法 訴訟手続 その1

民事訴訟法87条~ 訴訟手続

 

・用語

口頭弁論民事訴訟の裁判では、当事者双方又はその代理人が公開の法廷で、争点に関して、裁判官の面前で争点に関して互いに攻撃防御の主張を行う形式が取られています。このやり取りを「口頭弁論」と言います。口頭弁論は、当事者双方に対して平等にその機会が保証されなければなりません。

審尋(しんじん)…口頭弁論をしない場合に、訴訟の当事者にその紛争に関する意見や主張を裁判官に提出する方法です。審尋をするかどうかは、裁判所の任意であるため、審尋を行わないで、裁判を完結することもできます。

 

・口頭弁論の必要性(87条)

訴訟の当事者双方は、裁判で口頭弁論をしなければなりません。ただし、決定のみで完結する裁判の場合は、裁判所は口頭弁論を行わないことができます。

口頭弁論を行わない場合、裁判所は当事者を審尋することができますが、しないで完結させることもできます。

 

・和解の試み(89条)

裁判所は、訴訟がどの段階にあったとしても、当事者に対して和解を勧めることができます。

和解は、訴訟上の争点に対して当事者双方が合意し、互譲お互いに譲り合うこと)があることが要件です。被告が原告の言い分をすべて認める請求の認諾(にんだく)又は原告が訴えを取り下げる請求の放棄とは、異なる性質を持ちます。

 

・訴訟手続に関する異議権の喪失(90条)

当事者が訴訟手続きにおける規律の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、異議を述べる権利を失います。ただし、異議権を放棄できないものについては、この限りではありません。

相手方の訴訟手続きの不備によって不利益を受ける者がその不備を指摘する権利を「責問権」と言います。責問権を喪失するということは、相手方の訴訟手続き上の不備が不備として扱われなくなることです。

責問権を喪失しないものとして、判決や既判力の存在などがこれにあたります。

裁判官が誤って判決の読み上げをしていた場合において、うっかり異議を述べなかったからと言って、誤った判決が有効になることはありません。また、すでに判決が下っている事項をなかったことにして裁判を進めることはできません。すでに下った判決は特定の要件を満たさない限り、常に有効です(=既判力)。