刑法 犯人蔵匿及び証拠隠滅

刑法103条~ 犯人蔵匿・証拠隠滅

 

・犯人蔵匿等(103条)

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。

「罪を犯した者」には、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれます。

 

判例(103条)

蔵匿とは、警察官等の発見・逮捕を免れうるような場所を提供してかくまうことを指し、隠避とは、蔵匿以外の方法で警察官等の発見・逮捕を免れさせる一切の行為を指します。(大判昭和5.9.18)

犯人自身が身代わりを立てさせ、その者に自首させる行為は、犯人隠避罪の教唆犯となります。(最決昭和60.7.3)

 

・証拠隠滅等(104条)

他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。

証拠隠滅罪は、他人の刑事事件の証拠隠滅に限られ、自分の刑事事件の証拠を隠滅させたとしても、適用されません。

 

判例(104条)

他人を教唆して自己の刑事事件に関する証拠を偽造させたときは、証拠偽造罪の教唆犯が成立します。(最決昭和40.9.16)

 

・親族による犯罪に関する特例(105条)

前2条(犯人蔵匿、証拠隠滅)については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができます。

 

判例(105条)

犯人の親族が他人を教唆して犯人蔵匿又は犯人隠避をしたときは、本条の特例は適用されません。(大判昭和8.10.18)