供託法 供託物払渡手続き その3

供託法 還付請求権

 

・供託の受諾

被供託者が供託金又は供託物を受け取る権利を還付請求権といいます。

供託金又は供託物は、被供託者が供託の受諾をすることで、確定的に被供託者のものとなります。ただし、被供託者が受諾の意思表示をしないでそのままにしておくと(又は、供託を有効と宣言した判決が確定しない間)、供託者によって取り戻されてしまう場合があります。(民法496条)

 

・受諾の意思表示

供託の受諾をするためには、法務局へ供託受諾書を提出します。一部受諾の供託受諾書も認められます。

この受諾の意思表示(供託受諾書の提出)は撤回することができません。ただし、錯誤を理由に取り消すことはできます。

供託の受諾の意思表示は、口頭では認められず、必ず供託受諾書によってすることを要します。

被供託者による法務局に対する還付請求権の譲渡の通知は、譲渡通知書に「受諾したものではない」と明示されていない限り、受諾の意思表示とみなされ、供託者は、当該通知書の提出以降に取戻請求をすることができなくなります。

 

・代位による受諾の意思表示

供託の受諾は、代位によって行うことができます。被供託者の一般債権者や差押債権者などがこれにあたります。ただし、仮差押債権者は確定的に権利を得ていないため、代位によって受諾の意思表示をすることができません。

還付請求権が分割債権である場合(共有建物の賃貸債権等)、共有者のうちの1名によって他の共有者の受諾の意思表示をすることができません。あくまで分割債権であるためです。

 

・還付請求特有の添付書面

供託受諾書に、印鑑証明書の添付は必要ありません。供託受諾書は、供託金払戻請求書ではないためです。供託受諾と払戻請求と併せて行う場合は、原則必要となります。

被供託者による反対給付を条件とする供託の受諾書には、反対給付を行ったことを証する書面が必要です。また、供託者の「被供託者が受理することに同意する」旨の承諾書を添付することで置き換えることもできます(印鑑証明書必須)。