民事訴訟法 訴訟手続 その3

民事訴訟法98条~ 送達

 

・送達

訴状を送ることを指します。原告が訴状を裁判所に提出し、裁判所が被告に訴状を送ります。被告に訴状を送ることを「送達」といいます。

 

・職権送達の原則等(98条)

送達は、特別の定めがない限り、職権で行います。裁判所書記官さんのお仕事です。

 

・送達実施機関(99条)

送達は、特別の定めがない限り、郵便又は執行官によって行います。

 

裁判所書記官による送達(100条)

裁判所書記官は、その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、自ら送達をすることができます。

つまり、裁判所書記官が直接渡すことができます。この「所属する裁判所の事件」は、他の刑事事件について出頭した場合であっても有効です。ただし、裁判所にちょっとふらりと寄った程度では「出頭した」との扱いにはなりません。また、高等裁判所に所属する裁判所書記官が同一建物内にある地方裁判所に出頭した者に対してする送達は無効です。あくまで「所属する裁判所の事件」に出頭した者に対してのみ有効です。

 

・交付送達の原則(101条)

送達は、特別の定めがない限り、原則文書にて行います。

 

・訴訟無能力者等に対する送達(102条)

訴訟無能力者に対する送達は、その代理人に対して行います。代理人が複数いる場合(両親が親権者である場合など)であったとしても、そのうちの1名に対してのみ行えば足ります。

 

・送達場所(103条)

送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所に宛てて行います。法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所宛てでも良いです。

本人の住所がわからない場合又は本人の住所等に対して送達するのに支障がある場合には、本人の就業場所に宛てて行っても良いです。本人が「職場に送ってほしい」と同意が取れている場合も、就業場所宛てに送達を行って構いません。

 

・送達場所等の届出(104条)

当事者、法定代理人又は訴訟代理人は、送達場所(国内に限ります。)を届け出なければなりません。受取人も指定することができます。送達場所を訴訟代理人として届け出た場合には、以降は本人ではなく訴訟代理人に宛てて送達を行えば足ります。

上記の届出があった以降は、届出住所に宛てて送達を行います。上級審へ移行した場合であっても、送達場所の届出の効果は続きます。控訴・上告審のたびに届け出る必要はありません。