民事訴訟法 裁判 その3

民事訴訟法124条~ 裁判

 

・訴訟手続の中断及び受継(124条)

ここでいう訴訟手続きの中断は、一時的に中断し、中断した訴訟を引き継ぐ者がいるかどうかということになります。中断した上で却下する、という意味ではありません。

以下の事由がある場合は、裁判手続きは中断します。さらにそれぞれの場合によって、訴訟手続きを受け継がなければならない者が存在します。

①「当事者が死亡」した場合、「相続人」「相続財産管理人」「その他訴訟を続行すべき者」が訴訟を受け継ぎます。(相続できないもの…一身専属の地位又は権利の確認など…を争う場合は、中断事由にはなりません。また、相続を放棄できる間は、訴訟を受け継ぐことはできません。相続放棄の権利を保障するためです。)

②当事者である「法人が合併により消滅」した場合、「合併により設立した法人」「合併後存続する法人」が訴訟を受け継ぎます。

③「当事者の訴訟能力の喪失」又は「法定代理人の死亡」若しくは「代理権が消滅」した場合、「法定代理人」「訴訟能力を有するに至った当事者」が訴訟を受け継ぎます。

訴訟代理人(弁護士、司法書士等)がいる場合は、たとえ本人が死亡しようが、合併しようが、訴訟能力を喪失しようが、訴訟は一切中断しません。訴訟代理人が死亡した場合でも、訴訟は中断しません。

また、中断事由が発生した場合は、当然に訴訟は中断するため、裁判所が中断の決定を下す必要はありません。

債権者代位によって訴訟を行っている者は、代位している被保全債権が消滅した場合には、訴訟の中断事由ではなく、訴訟は却下されます。(訴訟適格の喪失=債権の消滅)

 

・相手方による受継の申立て(125条)

当事者に訴訟の中断事由が発生した場合、訴訟の相手方も訴訟受継を申し立てることができます。もちろん、受け継ぎができる人(=承継人)によっても申立て可能です。

 

・受継についての裁判(126条)

訴訟手続きの受け継ぎの申立があった場合は、裁判所は職権にて受け継ぎができる人かどうかを調査し、適格がなければ、却下の決定をしなければなりません。

 

・中断及び中止の効果(132条)

訴訟が中断している間であっても、判決の言い渡しは可能です。

訴訟手続が中断している間は、期間(控訴期間、異議申立期間など)は進行を停止します。訴訟手続きの受継通知後に全期間が進行します。

たとえ判決の送達後に中断事由が発生した場合でも、中断します(控訴期間等が存在するため)。受継通知が発されれば、期間は進行します。