民事訴訟法 訴え その2

民事訴訟法135条~ 訴え

 

・将来給付の訴え(135条)

将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り提訴ができます。

 

判例(135条)

ある不動産の所有権が甲→乙→丙と順次移転した場合において、丙に対する所有権保存登記の抹消を請求する訴えの敗訴が確定した場合であっても、甲の乙に対する所有権移転登記の抹消を請求する訴えを提起することができます。(最判昭和41.3.18)

 

・請求の併合(136条)

複数の請求は、同種の訴訟手続である場合に限り、一の訴えで行うことができます。

請求の併合には複数の原告が一度の訴訟で判決を求めるような「単純併合」、複数の請求を同時に行い順番に審理する「予備的併合」、同時に成立しえない複数の請求を同時に審理する「選択的併合」があります。

予備的併合では、同一の目的物に異なる請求を行います。前訴に対して、予備的な請求(後訴)を用意し、順番に審理をします。

ex)売買契約の売主が、契約の有効を前提として代金支払請求を行い、契約無効の判決が下りた場合に備えて目的物返還請求の予備請求行う。

選択的併合では、同一の目的物に対して複数の請求を行いますが、それらの請求は同時に成立しえない性質を持ちます。選択的併合では、請求に矛盾が生じるため、裁判所は弁論を分離することが許されません。

ex)建物の賃貸契約終了に伴う建物の引き渡しに際し、賃貸契約終了に基づく建物明渡請求と所有権に基づく建物明渡請求を同時に提訴する。

 

判例(136条)

選択的併合の関係にあるひとつの請求を容認した原判決の上級審にて、別の請求を容認する判決を出した場合は、原判決は当然に失効します。(最判平成1.9.19)