民事執行法 動産に対する強制執行

民事執行法122条~ 動産執行

 

・動産執行の開始等(122条)

動産に対する強制執行は、執行官が目的物に対する差押えにより開始されます。

 

・債務者の占有する動産の差押え(123条)

債務者の占有する動産の差押えは、執行官が動産を占有して行います。

動産の差押えに当たっては、執行官はかなり強力な権限があります。債務者の住居に立ち入り、捜索することができます。債務者の金庫内に目的物がある場合なら、解錠するための措置を取ることだってできます。

執行官は、相当と認める場合には、差押物を債務者に保管させ、さらには使用させることができます。(ただ、債務者が勝手に売却したりすることもあるようなので、持ち帰ったほうが良いと思われますが・・・。)

 

・債務者以外の者が占有する動産の差押え(124条)

強制執行の目的物が動産である場合は、第三者がその動産を占有している場合であっても、差し押さえることができます。ただし、第三者に対する動産の差押えの場合は、強制的に金庫を開ける等の執行はできません。

 

・二重差押えの禁止及び事件の併合(125条)

動産執行では、二重差押えは禁止されています。

動産執行が同時に行われた場合は、先行事件と後行事件が併合されます。

動産執行が併合されると、後行事件で差し押さえた動産は、先行事件で差し押さえられたものとみなされます。また、先行事件が取下げ又は効力を失った場合は、先行事件で差し押さえられた動産は、後行事件で差し押さえられたものとみなされます。

同様に仮差押執行事件と動産執行事件が併合した場合は、動産執行が優先されます。

 

・差押えの効力が及ぶ範囲(126条)

差押えの効力は、差押物の天然果実にも及びます。つまり、法定果実には及ばないということになりますね。リンゴの木を差し押さえたら、リンゴの実には差押えの効力が及ぶけど、債務者が行ったリンゴの木の動産賃貸借契約の賃貸料には及ばないということになりますね…。(税理士試験だと、例外的として差押債権の利息には差押えの効力が及ぶと学ぶようです。)

 

・超過差押えの禁止等(128条)

動産の差押えでは、差押債権者の債権及び執行費用を超えて差押えを行うことはできません。もし、その費用を超えて差押えを行ったことが明らかになった場合は、執行官は、その超過分の差押えを取り消さなければなりません。